とりあえずお目覚めのコーシーを、と思ったが、フル装備かと思われたこの部屋にコーヒーメーカーが無い事に気づく。仕方なくフロントに取りに行くとフリーの朝食を発見。コーヒー以外にもミルク、オレンジジュース、アップルジュース、シリアル、パンケーキやお菓子類があり、予想外の豪華朝食をゲッツすることに。
久々のテーブルでの食事を頂いていると、なぜかフロントのオバちゃんが凄まじく睨んでくる。狭いロビーには俺とそのオバちゃんの2人しかいないわけで、俺がロックオンされている事は確実。オバちゃんは阿修羅面「怒り」バリの形相で両手を腰に当てて睨んでおり、かなり激怒している模様。しかし朝起きて飯を食い出したら睨まれいたわけで、心当たりがあるわけが無い。いや、マジで全く無い。
なぜだか知らんがやたらと心のこもった接客を受けるハメになっている俺。寝起きの脳で原因を考えてみるが、「よぉ、イエローモンキー。お前本当に宿泊者かよ?」という目で見られている気がする。この貴公子様(俺)がコーンフレークごときを目当てにモーテルに侵入する道理が無いが、そのくらいしか考えられない。オバちゃんは無言だし、この状況でこちらから聞くのもアレだし、とりあえず次の展開を警戒しつつ朝食を続行することに。
熱い視線を受けつつシリアル、パンケーキ、クッキーと全種を制覇。勝利を確信し、ちょっくらジュースを追加と席を離れた瞬間、執念深く睨み続けていたオバちゃんが「あんたゴミ片付けなさいよ」的なことを言ってくる。食事中の客を睨みつけ因縁をつけるという、高嶋政伸なら「姉さん事件です」などと慌てることは必至の接客態度。腹12分目まで食すつもりだったが、凄まじい怨念に負けて朝食終了。意地で食後のコーヒーを頂いてから、ブルーベリークッキーとラズベリークッキーをポケットに詰めて撤退。ちなみにロビーから出るまで睨まれ続けました。ありがとうございました。
部屋に戻り、食後のゴロゴロをしながら昨日の事故のニュースを観る。上空からの映像では、一台の車が道路横の土手でひっくり返っており、若者二人が亡くなったらしい。テレビを見ながらゴロゴロしているとすぐ時間がなくなるわけでして、インターネットでニューオーリンズ情報に仕入れ、チェックアウトの準備をする。出発前に昨夜から凍らせておいたペットボトルを取り出すがほぼ水のまんま。アメリカン冷蔵庫恐るべ午前11時、チェックアウト。鍵を持ってフロントに行くとさっきのオバちゃんが凄まじい笑顔で迎えてくれる。いや、マジで脳を交換したとしか思えないほどの豹変っぷり。異様なまでの笑顔+丁寧な応対なわけで、「イエローモンキー疑惑」は的中した模様。とどめには「Have a nice day!」などと言ってきやがられますが、すでにナイスなわけが無い。もうどうでもいいけど。
午前11時15分、出発。30分ほど走ったところのレストエリアにScenic Viewの看板を発見、とりあえず寄り道。しかしどこがScenicなのかいまいちわからじ。なんか川だか湖があったけど特に無し。
ミシシッピ州に入ってすぐの辺りのレストエリア。
割とScenic View(良い景色)です。多分。
このままハイウェイを真っ直ぐ行けばニューオーリンズなんだが、せっかくなんで海沿いの道を走りつつテキトーに寄り道してみたりすることに。海に向かって走っているとオーシャンスプリングス(Ocean Springs)とかいう小さな町でベトナムベテランメモリアルの看板を発見。なんとなく寄ってみる。
正午すぎにメモリアル到着。ベトナム戦争で行方不明になった兵士の記念碑や、第二次大戦で戦没した潜水艦の石碑等がある模様。イロコイスとUSSミシシッピのマストもありました。ということで予想通り特に無し。15分ほどで見学終了。帰国後に調べてみたら潜水艦の石碑はハリケーンで倒されて大破してました。ハリケーン恐るべし。
ベトナムベテランメモリアル。
ベトナム戦争の行方不明者の碑。
←の内部。
兵士の顔写真が並んでおりました。
潜水艦関連の石碑。
イロコイスとその下でまったりとする人々。
メモリアルを出てUS-90westに乗り、長い橋を渡ってビロキシ(Biloxi)、ガルフポート(Gulfport)と海沿いの町を眺めながら走る。何もない感じの小さな田舎町なんだがカジノリゾートが点在しているようで。その建物だけがやたらと目立っておりました。なんかでっかい船型のカジノもありました。
ガルフポートを抜けロングビーチ(Long Beach)に入るとカジノ街は終了、まったりとした海沿いの道を走る。海はすぐ近くに見えるわけですが防潮堤的な物は無く、砂浜の隣がすぐ道路、そしてその隣には普通に家が並んでおりました。水辺は全てコンクリートでガチガチの国から来た俺には新鮮な風景。「景色はいいけど高潮対策はどおよ」などと考えてわけですが、まさか帰国後にハリケーンのニュースで見ることになるとは思わなんだでした。
US-90、ロングビーチ付近。
カジノが無くなると急に寂れます。
US-90、ロングビーチ-パスクリスチャン間。
この辺は浜→道→家と高低差があまり無いです。
途中、パスクリスチャン(Pass Christian)とかいう町で小さな港と桟橋を発見。釣り人もいるので多少見学することに。ボケッーと海を眺めていると隣のオバちゃんが「Oh!ドルフィン!ドルフィン!」と騒ぎ出す。嘘クセーと思いつつ海面を捜索すると、オバちゃんの指差す方向に割りとショボ目なヒレが見える。「いや、サメだろ」と思いつつもいっしょになって指を差してみたりしてみる俺。ヒレを見て「イルカ」だと喜ぶオバちゃんに比べて、「どうせサメだろ」と思ってしまうネガティブっぷりが悲しい。
無限にあるパンフレットからD-dayミュージアムとかいう第二次世界大戦の博物館情報ゲット。さらに現存駆逐艦の情報もゲット。ここでは「(1)フレンチクォーターでカキを食す。(2)バーボンストリートで飲酒。」というこの旅の最重要任務もあるわけで。急に予定が増えたのでここでも1泊することに。メインイベントを前にして野宿はイヤなので、今日も豪勢にモーテルに泊まることを決定する。
午後3時半、ニューオーリンズのビル街が見えてくる。「この橋を渡ればついにニューオーリンズだぜっ」と浮かれていると、右前方を走行中のダンプカー的な巨大トラックの後輪が激しくバースト。しかも2本同時に大爆発。無数に分裂したでっかいタイヤ片に強襲される。華麗なドライビングテクニックでこれを回避する俺。というか直進したら当たらなかったわけですが、後続の数台が被弾しておりました。生々しい炸裂音が恐ろしっこでした。時速60マイル(約95キロ)で走行しながら巨大タイヤ片を避けるというリアル絶叫アトラクションも無事にクリアし、市内中心部の下見を開始。これまでに見てきた街は「アメリカの街はどこも同じだぜ」といった感じだったが、なんかココは違う。なんというか「外国に来たぜ」感があって期待大。地図に従って進むと高級ホテルが並ぶメインストリートから狭い路地に入っていくわけでして、進むほどにアレな雰囲気に。なんというかモロに住宅街で、舗装はボロボロ、失敬だが家もボロい。そして定番の平日の昼間なのに家の前に座っている人々。なんか大人も子供もこっち見てくるわけで。どうも目的のモーテルを通り過ぎてアレエリアに入ってしまった模様。地図を再確認し来た道を引き返すと、築50年のボロアパート風建物に「Hotel」と書いてあるのを発見。渋すぎて気づきませんでした。
予想を上回る渋さに呆然としつつも、一見ただの空き地風で草ボーボーの駐車場をチェックする。州外ナンバーも停まっており一応客はいる模様。カメラも設置されているが防犯用というより愛車の最後を見届ける用にあるようにしか思えない。建物内も偵察。空き部屋を覗いてみるがドラクエの宿屋バリに質素な部屋があるのみ。部屋が渋いのはいいとしても、やはり駐車が不安。
そんな感じで結構迷ったわけですが、1泊$26は捨てがたくフロントへ。黒柳徹子的もしくはチャングム的なヘアスタイルの黒人オバちゃん登場。なんかリアルなメイドっぽい服装が渋い。クーポン券を見せると「うーむ」といった顔をした後に、「今は$40の部屋しか空いてない」などとおっしゃり腐りやがられる。「40ゴールドの間違えだろボケ」などと思いつつ、電話はあるかどうか聞いてみると、「部屋には無いがフロントの電話をタダで使わせてあげる」と仰せられる。建物と同様に昭和初期のシステムを採用しているらしい。さらには全室カラーテレビ装備などとアピールしてくるが、その終始自信満々な態度に愕然。最後は「何が気に食わないの」的な顔されておりましたが、21世紀にカラーテレビを真顔でアピールするところが気に食いません。いや、マジで。ということで却下。部屋に戻り、風呂に入ってからディナーの開始。枕元の小テーブルをテレビ前に移し、ちゃぶ台として使用。電話帳を座布団にして床に座る。「本を踏むと頭が悪くなる」らしいが、すでに悪いので無問題。地面にあぐらをかき、ちゃぶ台でまったりとお夕飯を頂く。贅沢にもモーテルに2連泊しているわけで、妙な罪悪感を感じてしまうリアル貧乏性な俺。ちょっと真面目に今後の予定を考えてみたりもしてみる。
静止したままのG。意味も無く部屋を歩き回り現実逃避する俺。やがて意を決し、ビールの箱で渾身の一撃を食らわす。そしてそのまま内容ブツが見えないように箱を被せる。「1匹いたら100匹」なわけであり、このままでは絶対寝れないわけで。部屋中の家具の隙間をチェック。天井の照明内もチェック。侵入を防ぐためにシンクには栓をして、ドアの隙間等は全てタオルで目張りする。一番危険そうなエアコンは対処のしようが無く、最大風速にしてみたり、激しく蹴りを加えたりしてみる。こんなんでホーチミンルートバリの侵入経路を遮断できる訳が無いが本人は真剣。いや、マジで。
一応の室内制圧を完了し、後回しにしていた戦後処理に着手。箱の下のブツを想像するだけで寒気するわけで、視界に入らないように箱を持ち上げ、念のために数回の打撃を加える。と、分解されたブツが飛び跳ねる。叫びながら後ずさりしちゃぶ台に激突、ビールをこぼしてしまう俺。夜のモーテルでマジ悲鳴をあげながら床を叩き続ける。最終的には分裂したバイオハザードが広がってしまい始末不能の状態に。仕方なく使用しない方のベッドの下に掃き入れてG掃討作戦を終了。
午後9時、まったりモード再開。ポテチ的な物が欲しくなったので、対G戦のPTSD治療も兼ねて買い物へ。なんとなく歩きで行ってみると、すぐ近くに著しく寂れた店を発見。日本では絶滅の危機にある昔ながらの雑貨屋みたいな感じだが、なぜかスナック類の品揃えだけ豊富。定番のLay'sポテトチップスにフリトスハニーBBQ、Zapp'sポテトチップスハラペーニョとアメリカンな品を選択。ジャンクフードをボリボリしながらビールを飲んでテレビを観る。人生こんなんでいいのだろうか。などと思いつつもさらにビールを飲む。正にダメ人間。
午前0時、念のために全ての有機物を外のゴミ箱に捨ててから就寝。
後で気づいたのだが、あのゴキブリは移動した小テーブルの下で初めから死んでいたような気がする。発見から攻撃まで5分以上あったのに全く動かなかったし、やたらと乾燥していたし。つまりは死んだG相手に30分程格闘してしまったということで。嫌いなんだからしょうがない。
本日の走行距離: | 156miles (251km) |
トータル走行距離: | 4627miles (7446km) |
本日の出費 | |
AL Mobile | :睨みすぎモーテルのチップ$3.00 |
MS US-90 ガソリンスタンド | :給油$28.67 |
MS I-10 ガソリンスタンド | :ショットグラス$3.20 |
LA New Orleans | :モーテル$45 高級日焼け止めクリーム ガム チキン 冷凍食品×2 計$26.71 |
LA New Orleans | :スナック菓子×3 $2.22 |
Total | :$108.80 |